次年度予算編成がはじまっている今日この頃。
 公営企業会計の予算編成の中でもわりと注意が必要なのが消費税関連の予算です。
 今日はその話を少し。

 一番注意が必要で、法適用の初年度に間違いやすいのが、消費税予算の「年度」。

 特別会計の場合、令和2年度の確定申告で確定した支払消費税は令和3年度の予算から支払う。
 予算が足りない時は支払までに補正予算で増額すればいい。

 一方公営企業会計の場合、令和2年度の確定申告で確定した支払消費税は令和2年度の予算から支払う。支払消費税が確定する4月下旬から5月上旬の頃にはもう令和3年度になっているので補正予算では対応できない。間に合えば専決という手段もあるが、スケジュール的にはかなり厳しい。
 よって、原則確定申告で支払消費税が確定した時点で予算が不足することは許されない(プレッシャー)。

 法適用の手引きみたいな本で、特別損失(予算経理有り)で前年度の消費税を支払うと書いてあったので、最終手段でそれは使える気もする。ただ、通常ならば損益計算書に記載されない支払消費税が特別損失に計上され、その結果赤字になったなんてこともあり得そうであまり美しくないのではと思う。



 ということで結局はだいぶ余裕をもって消費税の予算を編成しときましょうということになる。
 じゃあ何を想定してどのくらい余裕を持てばいいのかなということで毎年悩む。

 一番影響が大きいのが繰越工事。工事が繰越になると仮払消費税が減り、納税額が増える。
 「11億の工事が年度内にできると思ってましたがなんだかんだで繰り越します。」
 なんて年度末ぎりぎりになって無表情で言われた日には支払消費税1億円増えることになるのであり、想定してないと地獄になる。言ってきた人にそこでキレてももはやどうにもならない。
 繰越になりそうな工事は早い段階で想定しておく必要がある。

 他にも収入が思いのほか多くなったり、不用額が予定より多く発生するなど、その辺は想定しておかないといけない。

 反対に、余裕を持ちすぎて決算の結果支払消費税予算の不用額が多額になる場合も考えられる。
 「なんでそんなに余ってるんだ」と議員さんに言われる可能性もあり、「一般会計とは違うんです」という気持ちは持ちつつ、「すみませんでした」という準備だけはしておくことにしている。

 支払消費税の予算が足りない場合は同じ営業外費用の支払利息や一時借入金利息、雑支出なんかから流用するという方法もある。そっち(他の営業外費用の予算額)に余裕をみておくという方法もあるかもしれない。



 また、支払消費税の予算だけでなく、課税売上割合の関係で営業外費用の雑支出に予算が必要になることも忘れてはいけない。日本水道協会のホームページに詳しく書いてある。38ページからの表は役立っている。(参考:http://www.jwwa.or.jp/upfile/upload_file_20130226001.pdf)


 色々気を使う消費税の予算編成。
 間違った時のダメージが大きいので気を使いすぎることはないのです。